「また行こう。」
そう思っていた場所でも、実際に再び訪れる機会は意外と少ないものです。ところが今回は、クライミングジムの草コンペ(ボルダリング)でファイナリストになった直後、クライミング友から声をかけてもらい、再びボルダリングの聖地・フォンテーヌブロー(Fontainebleau)へ向かうことになりました。私にとっては、2015年11月以来3年ぶり、2度目のフォンテーヌブローです。
忘れられない2015年の記憶
フォンテーヌブローと聞くと、今でも最初に思い出すのはボルダリングではありません。2015年11月13日、パリで起こった同時多発テロの夜です。何も知らずに眺めていたモンマルトルの丘からのエッフェル塔。「11区には絶対に行かないでください。」そう声をかけてくれた、一人のパリジェンヌ。街中のテレビが同じニュース映像を映し、人々が静かに画面を見つめていた光景。翌朝、不安を抱えながら Gare de Lyon 駅から電車で Fontainebleau-Avon 駅へ向かい、クライミング友と再会した時の安堵感は、今でも鮮明に覚えています。
あれから3年。今回は天候にもクライミング友にも恵まれた、純粋にボルダリングを楽しめる4日間になりそうでした。
まだ暗いストラスブールを出発
まだ暗い朝5時過ぎに出発し、約6時間。フォンテーヌブローには予定どおり11時過ぎに到着することができました。
天気予報は快晴。ところがこの日は、4月とは思えない異常な暑さ。最高気温は25℃を超え、ボルダリングには少々厳しいコンディションでした。とはいえ、3年ぶりのフォンテーヌブロー。そんなことは気にならないほど気分は高まります。
唯一の失敗は、日焼け止め対策を甘く見ていたことでしょうか 😆
上級者だらけのメンバーに刺激を受ける
今回の参加者は最大13人。そのうち5人ほどがかなりの実力者で、岩場へ向かう車の中からすでにテンションが高めでした。最初に向かったのは、フォンテーヌブローでも有名な Cuvier(Bas)。
Cuvier(Bas)
- L'Épée (2a) 完登
アップはこのくらいで十分 😆 改めて感じましたが、フォンテーヌブローはグレード以上に体を使います。 - Cône d'Amour (4a) 完登
「4aだから簡単かな?」そんな期待は、やはり裏切られます。フォンテーヌブローでは、このグレードでも十分考えさせられます。 - L'Escalier (4b) 完登
離陸だけでなく、上部まで気が抜けません。簡単そうに見えて、最後まで集中力を要求される一本でした。 - Le Trou Simon (6a) 完登 ⚠️高さ約4m
離陸は問題ありませんでしたが、左手カチから右手パーミング、さらに右足をガバまでハイステップしてから、右手を遠くに伸ばし、パーミングで耐えて体を上げる。1便目は落ちたけれど、2便目はなんとか耐えられました。 - La Poigne (6b) 完登
今回、一番印象に残った課題です。高さは約4m、細かなカチをつないでいく、フォンテーヌブローらしい一本。離陸は耐えられて右足を上げられたけれど、右手を狙ったホールドに伸ばすも甘くてフォール。ホールドの位置を確かめて再スタートし、2便目でようやく掴むことができ、最後のパーミングも耐えて登れました。密かに目標にしていた6b、これがフォンテーヌブローで初めての完登です。大満足でした。⚠️ Bleau.info では 6a 表記 😅
このあとは写真を撮ったり、仲間のスポットをしたり。岩場でのんびり過ごす時間も、フォンテーヌブローの楽しさの一つです。
- Dalle au Trou (5b) 完登 ⚠️高さ約6m
最初はみんな落ちていたので、正直ビビって登る気はなかったのですが、色々とアドバイスをもらい登ってみることに。下部も難しいですが、上の写真の位置からのワンムーブが核心。最後もホールドとムーブが分からなければ苦戦すると思います。さすがフォンテーヌブロー。 - La Fissure Morin (4c) 完登
リクエストに応えて登ってみることに。クラックをうまく使って体を振れるかがポイント。足元はかなり磨かれていて、見た目以上に繊細なバランスを求められます。 - Cortomaltèse (6c+) 敗退
せっかくなのでフォンテーヌブローの6c+も体験。結果はもちろん敗退 😅 後から聞くと、身長の高い人はダイレクトランジで解決するとのこと。やはりフォンテーヌブローは、人によってムーブが大きく変わるエリアだと改めて感じました。
キャンプ場 Camping Les Prés へ
16時過ぎに個人的なボルダリングは終了。今回利用するキャンプ場 Camping Les Prés のオフィスが、午後は15時〜19時(午前は9時〜12時)までしか開いていないとのことだったので、まだ登っているメンバーを岩場に残し、今回のツアーで大変お世話になる Vic & Cid さんたちと一緒に受付へ向かいました。
ところが受付では、「いつ予約しましたか?」「メール?」「電話?」と、しばらく予約が見つからない様子。どうやら引き継ぎがうまくできていなかったようですが、最終的には無事チェックイン。この季節でも予約がないと泊まれないほど人気なのかと思いましたが、実際のキャンプ場は意外なほどガラガラでした。受付のご婦人はとても親切で、フランス語だけでなく聞き取りやすい英語でも対応してくださり、とても助かりました。
13人分の食事は、なんとも摩訶不思議なシステムで
Vic & Cid さんたちがテントを設営している間にシャワーを浴び、その後はスーパー(Intermarché)へ買い出しに行きました。13人(男性10人、女性3人)という今回のスケールならではの悩みが、食事の割り振りでした。
キャンプでの食事といえば、みんなで作ってシェアし、割り勘というイメージを持っていました。ところが今回は菜食主義の人もいれば、健康のために食事制限をしている人もいて、一晩だけみんなでバーベキューを楽しんだ以外は、それぞれ個人で食事をとることに。かといって完全に個別というわけでもなく、一部だけシェアするという、なんとも摩訶不思議な状況でした。フランス語の会話についていけない私は、「結局、自分は何を食べればいいんだろう?」と、内心少し混乱していたのですが、他のメンバーの間では何の問題もなく意思疎通ができていた様子。これがフランス式というものなのでしょうか。
そんな中、幸運にも Vic さん、Cid さん、そして Céd 君の4人で食事をシェアすることになり、一安心。おかげで「ご飯難民」にならずに済みました。
持参した豚の角煮は予想以上の人気
今回のキャンプでは自家製の豚の角煮を持っていったのですが、意外と好評で、「これは美味しい!」と喜んでもらえました。
実は、この角煮用の豚バラ肉を探すのも一苦労でした。いつも豚肉を買っている Kirn Strasbourg Centre にはこの日バラ肉がなく、「明日また来てくれ」と言われてしまいました。何軒か回った末、老舗の Frick Lutz でようやく注文できたものの、フランス語の発音が悪かったのか違う部位の肉が出てきて、慌てて謝りながら身振り手振りで説明する羽目に。値段は高めですが、さすがはお肉屋さん、味は文句なしの美味しさでした。
夜22時過ぎ。まだ外で語り合っているメンバーもいましたが、長距離の移動とボルダリングで疲れていた私は早めに就寝。3年ぶりのフォンテーヌブロー、最高のスタートを切ることができた一日でした。
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