スイス・ベルナーオーバーラントを代表する名峰、アイガー(Eiger, 3970m)。その北壁は、世界中の登山家たちを魅了し続けてきた憧れの岩壁です。
今回挑戦するのは、そのアイガー北壁のすぐ隣にあるロートシュトック(Rotstock, 2663m)のヴィア・フェラータ。規模は本家よりはるかに小さいものの、その姿から「ミニ・アイガー北壁」とも呼ばれています。
山頂から眺めるアルプスの大パノラマも素晴らしかったのですが、本当に心を奪われたのは、その後に歩いたアイガートレイルでした。夕暮れの光を浴びて赤く染まるアイガー北壁。その圧倒的な存在感を前にした瞬間、「またこの場所へ戻ってきたい。」そう思わずにはいられませんでした。
今回は、ストラスブールからグリンデルワルトへ向かい、ロートシュトック・ヴィア・フェラータの取り付きまで歩いた様子をご紹介します。登頂の様子は後編で詳しくお伝えします。
ストラスブールからグリンデルワルトへ
まだ夜明け前の4時40分。ストラスブールを出発したFlixBusは、バーゼルへ向かいます。ところがスイス国境ではパスポートチェックが行われ、バスは約30分遅れ。中には荷物を一つひとつ開けて確認されている方もいて、空港並みとはいかないものの、思っていた以上にしっかりした入国審査でした。
幸い、今回は早割の列車を予約していなかったため、焦ることなく旅を続けられました。海外旅行では、こうした予定外の出来事も旅の一部ですね。
SBBでアルプスの玄関口へ
バーゼルからはスイス連邦鉄道(SBB)を利用。シュピーツ(Spiez)とインターラーケン・オスト(Interlaken Ost)で乗り換え、11時過ぎにグリンデルワルトへ到着しました。
切符はSBB Mobile Appで購入。駅の窓口に並ぶ必要がなく、その場で購入できるのでとても便利です。今回はSwiss Half Fare Cardを利用したため、移動費もかなり節約できました。
グリンデルワルト到着
駅前に降り立つと、観光客でにぎわうアルプスの山岳リゾート。日本語で相談できる旅行会社もあり、初めて訪れる人でも安心できる雰囲気です。駅前にはハイキングコースの案内板が並び、「いよいよアルプスに来た!」という実感が一気に湧いてきました。
……ところが。あれほど楽しみにしていたアイガーが見当たりません 😆 どの方向を見ても山ばかり。「あれ?アイガーってどこ?」疲れもあって、少し拍子抜けしてしまいました。
村を歩いていると、モンベルのショップを発見。ツェルマットでも見かけましたが、グリンデルワルトにもあるとは驚きです。
観光案内所に向かう途中で突然現れたアイガー
そして、観光案内所に向かう途中で遭遇した銅像の前へ立った瞬間、目の前いっぱいにアイガーが現れました。「うわっ!」思わず声が出るほどの迫力です。一方で、振り返ると牧草地や木造シャレーが並ぶ、いかにもスイスらしい街並み。アルプスの大自然と山岳リゾートが調和した、とても魅力的な風景でした。
観光案内所で情報収集
旅行案内所では、簡易ハイキングマップと1:27,000の詳細地図の2種類をいただきました。最初は簡易マップだけでしたが、「ロートシュトックのヴィア・フェラータへ行きたい」と伝えると、詳細地図も用意してくださいました。スタッフの方も慣れているようで、とても親切でした。もし歩くコースが決まっているなら、SchweizMobilの無料PDFマップもおすすめです。細かな登山道まで掲載されているので、事前準備には十分役立ちます。
アプローチをどうする?
案内所でおすすめされたのは、アルピグレン駅 → アイガートレイル → ロートシュトック・ヴィア・フェラータ → アイガーグレッチャー駅、という縦走コース。
アルピグレン駅からアイガートレイル、ロートシュトック・ヴィア・フェラータと登りが続きますが、アイガー北壁を見た後に登るロートシュトックは、見たばかりのアイガー北壁の残像と共にのぼれ、人気ルートとのことでした。
しかし、この時点ですでに11時45分。時間を考え、今回はアイガーグレッチャー駅 → ロートシュトック → アイガーグレッチャー駅、という往復ルートを選択しました。
結果的には十分楽しめましたが、あとから振り返ると、案内所で勧められた縦走ルートの方が、より充実した一日になったと思います。
クライネ・シャイデック駅 (Kleine Scheidegg) へ
まずは、グリンデルワルト駅 (Grindelwald) から登山鉄道に乗り、クライネ・シャイデック駅 (Kleine Scheidegg, 2061m) へ向かいます。列車が標高を上げていくにつれて、車窓にはアルプスらしい牧草地や山間の風景が広がり、少しずつ「スイスアルプスに来た」という実感が湧いてきます。そして何よりも印象的なのが、間近に迫ってくるアイガー (Eiger, 3970m) の存在感です。巨大な岩壁が目の前に迫り、その圧倒的なスケールに思わず見入ってしまいます。
やがてクライネ・シャイデック駅 (Kleine Scheidegg) に到着すると、そこからの景色はまさに別世界。目の前にはベルナー・オーバーラントを代表する名峰、アイガー (Eiger, 3970m)・メンヒ (Mönch, 4107m)・ユングフラウ (Jungfrau, 4158m) が並び、その横には美しい尖峰ジルバーホルン (Silberhorn, 3695m) も姿を見せています。
ここは単なる乗り換え駅ではなく、スイスアルプスの絶景を楽しむためだけに訪れる価値がある場所です。ハイキングをしなくても、駅周辺でビールを飲みながら 🍺 この雄大な山々を眺めるだけで、十分に贅沢な時間を過ごせると思います。
アイガーグレッチャー駅からアイガートレイルへ
登山電車を乗り継ぎ、アイガーグレッチャー駅へ。ここからさらにユングフラウヨッホへ向かう観光客がほとんどで、この駅で降りるハイカーは意外なほど少数でした。
アイガーグレッチャー駅
駅前にはメンヒ、ユングフラウ、そして巨大なアイガー氷河。目の前に迫る氷河は圧倒的な迫力で、今にも動き出しそうな存在感があります。
ついにアイガー北壁と対面
線路を渡り、アイガートレイルを歩き始めると……ついに、待ち望んでいたアイガー北壁が姿を現しました。北壁は日陰に包まれ、黒々とした巨大な岩壁が目の前に立ちはだかります。写真では何度も見てきた景色。しかし実際に目の前に立つと、その大きさも迫力も想像をはるかに超えていました。
しばらく歩くと、アイガー北壁の歴史や登攀ルートを紹介する案内板があります。初登ルートを眺めながら、「あの巨大な壁を人が登ったのか……。」そう思うだけで鳥肌が立ちました。アイガーに憧れ、多くの登山家がこの地を訪れる理由が少し分かった気がします。
そして視線を右へ向けると、今回の目的地であるロートシュトック北壁。本家アイガーほどの威圧感はありませんが、それでも十分に迫力があります。ここから始まる「ミニ・アイガー北壁」への挑戦。いよいよヴィア・フェラータのスタートです。
👉 登頂編へ続く

0 件のコメント:
コメントを投稿