今回のブリアンソン遠征で、一番予想外だった一日。それは、みんなでマルチピッチクライミングへ行くことになったことです。今回のメンバーは、普段はシングルピッチで高グレードを狙うスポーツクライマーばかり。遠征前は、「まさかこのメンバーでマルチピッチへ行くことになるとは」と思ってもいませんでした。
目指すは Ailefroide・Cascade du Riou Sèche
いつものように朝7時過ぎには起床、軽く朝ごはんを済ませて Cascade du Riou sèche エリアへ向けて出発 🚗💨 途中、パン屋さんに寄ってサンドイッチを購入。この意図はよく分かりませんでしたが、みなさんが買うようだったので、私も買っておきました。(※いつもマルチピッチクライミングに行く時は行動食のみ持参)
移動中の会話で、「サンドイッチはマルチピッチの終了点で景色を眺めながら食べたい」という提案が出ましたが、それはさすがに無理でしょう。終了点が居心地の良いところとは限らないし、ほとんどの場合は狭い空間で、予定通りに進むとは限りません。結局、このサンドイッチは下山後のお楽しみになりました。
Ailefroide: Cascade du Riou sèche へ
30分ほど車で走り、Ailefroide のキャンプサイト(Camping d'Ailefroide)を通り抜けて、今回登るルート Cascades Blues(D+, Max 6a, 250m, L8)がある Cascade du Riou sèche エリアに到着(9:11)。
みなさんの気合いがひしひしと伝わってきて、自分のペースがつかめず、日焼け止めを塗るのを忘れてしまいました 😅 天気は快晴だったので、いつものように風除けのパタゴニア・トリオレットを持って行けば良かったのに、なぜか POLAIRE ELEVATION POWER JKT(MILLET)を持って来てしまいました 😅 まあ、結果的には問題ありませんでしたが。
テキパキと準備をして取り付きに到着(9:30)。西壁のため午前中は日陰。真夏なのに半袖一枚では寒いくらいでした。
人気ルートだと思っていましたが、結局この日は私たちだけ。静かな岩壁を独占できる贅沢なスタートになりました。
ところが出発前に小さなハプニング。メンバーの一人がチョークバッグを忘れ、一旦駐車場まで戻ることに。その結果、予定とは逆に私たちのパーティーがトップバッターになりました。これはある意味失敗でした 😅 そんなことはつゆ知らず、登攀開始。
取り付きはまだ日陰でしたが、向かい側のモン・ペルヴー — ポワント・ピュイズー(Mont Pelvoux - Pointe Puiseux)側には燦々と日差しが差していました。
Cascades Blues(D+, Max 6a, 250m, L8)
- L1(5c, リード) いきなりのルートファインディングミス
いきなり焦りました。直登ルートだと思い込み、登り続けました。しかし、どれだけ登ってもボルトが現れません 😨「これはおかしい」そう思い、慎重にクライムダウン。周囲を見渡すと、さらに2mほど下に本来のボルトを発見しました。正解は、小さなハングを越えてトラバースするライン。最初から心拍数が一気に上がるスタートでした。 - L2(5b, フォロー)
これはトポ通りのグレードだと思います。 - L3(5c, リード)
花崗岩らしい美しいフェイス。スイスのマルチピッチに比べるとボルト間隔も近く、安心して登れます。高度感も増し、振り返る景色も素晴らしい。「やっぱりマルチピッチは楽しい」そう思わせてくれる時間でした。
- L4(4c, フォロー) このルート最大の名物、まさかの滝越え
登り終えた後でも、ここがこのルートの核心部だったと思っています。少なくともハイライトです。なんと滝を横切ります。フィックスロープを使って川を渡り、反対岸へ。もちろんクライミングシューズもズボンもびしょ濡れです。「えっ、本当にここを渡るの?」そう思いながらも、これが想像以上に面白い。興奮しすぎて、クイックドローの回収を忘れてしまったほどでした 🤣 - L5(5c, リード)
花崗岩らしいスラブルート。こちらもボルトが親切に打ってあり、登りやすいと感じました。
- L6(5a, フォロー)
もともと L5 と繋げて登る予定でしたが、クイックドローの数が足りなさそうだったので、無理せずピッチを切りました。 - L7(4c, フォロー)
このトラバースは意外と楽しめました。 - L8(6a, リード) 最後の選択
最後のピッチ。左側のスラブっぽいルートか、右側の垂壁ルートかで迷いましたが、右側を選択。体感では5c+程度でしょうか。
そしてついに8ピッチを登り切ったという満足感とともに、終了点に立つことができました。
下山:懸垂下降
個人的には、この懸垂下降が一番ドキドキしました。というのも、事前情報がほとんどなかったからです。今回のルートは、このクライミング&キャンプツアーを企画してくれた友人が選んでくれたこともあり、事前にウェブサイトなどで情報を調べることができませんでした。
トポを見ると、登ったルートの左側に懸垂下降できるマークがありましたが、その先のピッチがどうなっているのか分かりません 🙄 当初は Délit d'initiés chez les maçons de l'extrême(ED+, 100m, 7b max)側に降りていくと予想していましたが、実際にはそれよりも左側へ。最終的には La méche fatale(TD+, 100m, 6c max)側に降りていったと思います。
この判断は間違っていなかったようですが、70mのシングルロープを使っていたので、懸垂下降はギリギリでした。60mだったら降りられなかったかもしれません 🙄 もちろんメンバーはそんな心配事は知らないまま、晴れやかな表情で降りてきていました 😅 まあ、初めてのマルチピッチクライミングというのは、そういうものですよね 😁 知らないからこそ楽しめる部分もあるのだと思います。
16時頃、駐車場付近のボルダリングエリアまで戻り、遅い昼食会。朝買ったサンドイッチをようやく食べることができました。
普段なら記念写真を撮ったり、今日のクライミングを振り返ったりと賑やかになるところですが、この日は違います。みんな無言。初めてのマルチピッチで張り詰めていた緊張が、一気にほどけたのでしょう。ブリアンソン市街で夕食を食べる予定も、疲れのため翌日に延期。それでも全員の感想は同じでした。「またマルチピッチに行きたい。」その一言を聞けただけで、この企画は大成功だったと思います。
登ってみた感想
Cascades Blues は、最高グレード6aながら、変化に富んだ8ピッチを楽しめる名ルートでした。ルートファインディングあり、滝のトラバースあり、花崗岩らしい快適なフェイスあり。しかもボルト間隔はスイスのマルチピッチとは異なり比較的近く、初級〜中級レベルのマルチピッチとして安心感があります。「初めてのアルパイン風マルチピッチを楽しみたい」そんな方には、自信を持っておすすめできる一本です。
活動内容
当日の行動記録
予定よりも時間がかかりましたが、初めてのマルチピッチクライミングで2パーティー(4人)だったことを考えると、こんなものかもしれません。写真撮影の時間も必要ですしね。
0 件のコメント:
コメントを投稿