ブリアンソンに到着してから早いもので4日が経ちました。Ailefroide でのマルチピッチクライミング、目標だった7aの完登。この4日間、岩ばかり見て過ごしてきましたが、翌日の午後には、この街を離れ、友人の実家があるヴズール近郊の小さな村へ向かう予定です。せっかくここまで来たのだから、最後の夜はクライミングを少し離れ、ブリアンソンの街をゆっくり歩き、地元で評判のレストランで夕食を楽しむことにしました。
世界遺産にも登録されたアルプスの城塞都市
ブリアンソンは、フランス南東部・オート=アルプ県(Hautes-Alpes)にある山岳都市です。標高約1,300mに位置し、フランス本土で最も標高の高い市(コミューン)のひとつとして知られています。
17世紀、オーストリアの侵攻に備えて建設された城砦都市として有名で、軍事技術者セバスティアン・ル・プレストル・ド・ヴォーバンが築いた城塞群の一部として、現在はユネスコの世界遺産にも登録されています。
城砦内に設置されていた案内板を眺めてみると、ブリアンソンの防衛施設は、17世紀の軍事技術者ヴォーバンによって考案された「稜堡(りょうほ)」を組み合わせた要塞構造になっていることが紹介されていました。
敵からの死角をできるだけなくし、複数の方向から防御できるよう設計された城壁は、実際に眺めてみると複雑に折れ曲がっていて、その理由がよく分かります。世界遺産に登録された理由も、ただ古い城壁だからではなく、この高度な築城技術にあることを知りました。
石畳の坂道や城門、古い建物が並ぶ旧市街は、歩いているだけで歴史を感じられる場所でした。
水路が流れるメインストリート:Rue Grande
急勾配の通りには古い家が立ち並び、ヨーロッパらしい風景が広がっています。面白いことに、旧市街のメインストリート「Rue Grande」を歩いていると、通りの中央に細い水路が流れています。これは「ガルグイユ(Gargouille)」と呼ばれる古い水路で、今でも街の暮らしに溶け込んでいます。暑いこの日は、子どもたちが水遊びを楽しみ、お店の人はその水を使って店先を掃除していました。なかには、うっかり水路へ足を踏み外してしまう観光客も。そんな何気ない光景にも、この街の日常が感じられました。
城壁から眺めるアルプス
残念ながら、この日は雲が多く遠くまでは見渡せませんでしたが、晴れていれば2000m級の山々が連なる壮大な景色が広がるのでしょう。冬にはスキーリゾートとしても賑わうこの街。山に囲まれた立地だからこそ、夏も冬も多くのアウトドア愛好家が訪れる理由がよく分かります。
Cathedral of Briançon(Collégiale Notre-Dame et Saint-Nicolas)の前では、小さな演奏会が行われていました。通常であればこの時期は観光客で賑わっているとのことですが、2020年は新型コロナウイルスの影響で閑散としていました。それでも、このゆったりとした時間の流れる雰囲気は、ヨーロッパの田舎街ならではの景観で、この小さなアルプスの街によく似合っていました。
クライマーにとって特別な街
クライミングをする者にとってブリアンソンは、リードクライミングのワールドカップが開催される街として有名です 🏆 2020年は新型コロナウイルスの影響で各大会が延期されていましたが、ブリアンソン大会は開催される予定です(8月21〜22日)。ただし他の大会はキャンセルされる可能性が高く、2020年のクライミングワールドカップはブリアンソン大会のみになるかもしれません。
私たちも元々はワールドカップ期間中にブリアンソンを訪れる予定でしたが、様々な状況を考慮して、ワールドカップ期間を外して訪れることにしました。例年の様子は知りませんが、少なくとも開催1週間前のブリアンソンは、のんびりとした静かなフランスの田舎町の雰囲気でした。
待ちに待ったラクレット!Le Gavroche で味わう城砦都市の夜
街を歩き回ってお腹も空いてきた頃、いよいよこの日一番の目的地へ。待ちに待って 😆 おすすめのレストラン、Le Gavroche でラクレットを楽しみました 🧀😋 予約は21時でしたが、1時間ほど待たされ、ようやく席へ案内されました。人気のお店らしく、時間帯に関係なく多くの人で賑わっていました。
まずは地元ブルワリー Brasserie Artisanale des Grands Cols のクラフトビールで乾杯。メインはもちろんラクレットです。ラクレットやチーズフォンデュは2人前ずつの注文とのことでした。
ラクレットには3種類のチーズから選ぶことができました。ノーマルタイプ、サヴォワ産のチーズ、モルビエです。残念ながらサヴォワ産は売り切れだったため、今回はモルビエを注文。白ワイン(シャルドネ)とともに、とろけたチーズをじゃがいもや生ハムにたっぷりとかけていただきます。アルプス地方へ来たら、一度は味わいたい郷土料理です。
ラクレットの後、クライミング友はデザートを注文していましたが、私はお腹がいっぱいで断念しました。フランスのレストランの量の配分には、まだ慣れていませんね 🤣 お店の雰囲気もスタッフの対応も素晴らしく、料理も美味しく大満足。おすすめのレストランです。
クライミングだけではない、ブリアンソンの魅力
雨が降る最後の夜となりましたが、美味しい料理と温かいお店の雰囲気のおかげで、とても心に残る時間になりました。
ブリアンソンは、世界クラスのクライミングエリアに恵まれているだけではありません。歴史ある街並みを歩き、美味しい郷土料理を味わい、アルプスの空気を感じながら過ごす時間も、この街ならではの魅力です。「また岩を登りに来たい。」そう思うのと同じくらい、「またこの街を歩きたい。」そんな気持ちにさせてくれる、素敵なアルプスの城塞都市でした。
翌日はブリアンソンを離れ、旅はヴズール方面へと続きます。
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