この日は朝から快晴。ガリビエ峠 (Col du Galibier) から見下ろすアルプスの山々が、朝の光の中で白く輝いていました。あの稜線の先に、今日登る岩場があります。
なぜこういう流れになったのか、正直よく覚えていないのですが、気がついたら Tour Termier でマルチピッチをすることになっていました。まあ、クライミング仲間との会話というのは、いつの間にか計画になっているものです 🙄
Tour Termier はどこにある?
Tour Termier は、グルノーブルの東側、ツール・ド・フランス (Tour de France) の峠越えでお馴染みのガリビエ峠のすぐ近くにある岩山です。フランスとイタリアの国境に連なるセルス山塊 (Massif des Cerces) の西側、同山塊最高峰のグラン・ガリビエ (Grand Galibier, 3229m) の南面に位置しています。
標高3070mの石灰岩の岩壁に、スポーツタイプのマルチピッチルートが10本ほど整備されています。「スポーツクライミングの感覚でアルプスのマルチを楽しめる場所」と聞いていましたが、実際に行ってみてその意味がよくわかりました。
クライミングインフォメーション
クライミングシーズン
一般的に7月〜9月。積雪量や天候に大きく左右されるため、訪問前には最新情報の確認を。
クライミングトポ
ESCALADE PLAISIR ALPES DU NORD / EDITIONS OLIZANE
使用クライミング装備(Ponant neuf 登攀時)
- ロープ:ダブルロープ 2×50m
- クイックドロー:16個
- スリング・カラビナ:各種
アクセスとアプローチ
Le Lautaret 方面から来る場合は、ガリビエトンネル手前約600mのカーブ脇に駐車できます。そこからエリアまでのアプローチは約1時間。道中に少しガレた箇所はありますが、ルートは明瞭で迷う心配はないと思います。
ただ、歩き始めて感じるのは「高さ」です。駐車場の時点ですでに標高は2000mを超えており、アプローチ中も空気の薄さがじんわりと脚に来ます。下山には2時間ほど見ておくのが安心です。登った日の頂上付近には、まだたっぷりの雪が残っていました。
登ったルートの記録:Ponant neuf (TD 6a+ > 5c+, 270m, 11pitch)
👱🏻♂️ L1+L2: 4b & 5c 👱🏻♂️ L3: 5c+ 👱🏻♂️ L4: 4c 👱🏻♂️ L5: 6a 🐢 L6: 5c+ 🐢 L7: 6a 🐢 L8: 5b+ 🐢 L9: 5b+ 🐢 L10: 6a+ 👱🏻♂️ L11: 6a
※ グレードはトポ「ESCALADE PLAISIR ALPES DU NORD」を参照。
当日の行動記録
クライミング開始から下山完了まで約10時間。それだけ使っても、翌日の疲労感はそこまで残りませんでした。アプローチがしっかりウォームアップになっているのかもしれません。
各ピッチの所感
- L1+L2 (4b + 5c)
つなげてリード。まだ体が温まりきらないうちに高度を稼ぎます。 - L3 (5c+)
このあたりはまだ日陰の中。じんわりと冷気が漂っていました。 - L4 (4c)
このピッチを抜けると、日当たりのいい居心地のいいテラスが出現。ほっと一息です。終了点は左隣の "Boucs en Stock" と共有しています。 - L5 (6a)
個人的にはここが核心部だったかもしれません。石灰岩のスラブを小さなフリクションで拾っていく感覚は、このルートのハイライトのひとつです。 - L6 (5c+)
離陸は少し「おっ」となりますが、その後は高度感のある楽しいトラバースが続きます。 - L7 (6a)
グレードほどの難しさは感じませんでしたが、最後はほぼフリーソロ状態。眼下の景色と緊張感が一気に押し寄せてきます。終了点を左隣の "Boucs en Stock" と間違えないよう注意です。 - L8 (5b+)
ホールドを探しながら丁寧に登るピッチ。石灰岩らしいテクスチャーを楽しめます。 - L9 (5b+)
同じく探りながら。高度が上がるにつれ、景色の広がり方が変わってきます。 - L10 (6a+)
トラバースから垂壁に上がる一手が核心。ここは慌てず確認してから。 - L11 (6a)
離陸時の足位置さえ確認できれば、問題なくこなせます。最終ピッチを抜けた先の景色は、言葉より実際に見てほしいです。
Tour Termier からの景色
登り終えてわかったのは、「なぜここに来ることになったか」という問いの答えでした。アルプスを見渡す3000mの岩壁の上に立てば、それだけで来た価値があります。
ボルトが打たれたスポーツタイプのマルチピッチを経験してみたい6a〜6a+クラスの方には、自信を持っておすすめできるルートです。ただし、標高が高くアプローチも長い。天候の確認は必須ですし、余裕のある日程で臨むことを強くおすすめします。
Micro-Brasserie "La Gwape" で反省会 🍺
La Taverne — 73450 VALMEINIER 1500
この日も締めは VALMEINIER の La Gwape です。何度飲んでも La Gwape の IPA は自分好みの味で、他のブランドとは一線を画す存在になっています。山で消耗した体に、冷えた IPA が静かに染みわたる時間は、マルチピッチの楽しみのもうひとつの形かもしれません。
そして今回は、遠征先で初めて自炊にも挑戦しました。チキンのトマト煮込みを作ろうとしたのですが、スーパーでまさかの鶏もも肉売り切れ。やむなく胸肉で代用したところ、予想どおりのあっさり仕上がりに…。疲れた体に悪くはなかったですが、やはりもも肉には勝てませんでした。次回の遠征では、食材の確保も早めに 😄
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