2022年の夏、フランスアルプスのエクラン山塊(le massif des Écrins)へクライミングトリップに出かけるチャンスが巡ってきました。氷河を擁し、4,000mを超える峰が2つそびえるこの山塊は、モンブラン山塊の約7倍もの広さを持ちながら、シャモニーほどの観光化は進んでおらず、どこかローカルな静けさが残っています。今回のメインターゲットは Aiguille Dibona(3,131m)でのマルチピッチクライミング。その記録は👉🏻こちらの記事にまとめています。
トリノに住むクライミング仲間とグルノーブルで待ち合わせ、拠点となるキャンプサイト(Camping municipal de la Bérarde)に着いたのは夕方でした。サイトはかなり混んでいましたが、空きスペースを見つけてから受付へ。するとまさかの「満員です」。予約なしでも大丈夫だろうという、甘い読みのツケでした 😅。途方に暮れかけたその時、ラッキーにも当日キャンセルが発生。滑り込みセーフで、なんとか泊まることができました。
Aiguille Dibona へは、登山口から日帰りで登り降りしてしまう強者クライマーもいます。ただ私たちは山小屋に前泊してから出発するプランを組んでいました。すぐに山小屋へ向かうこともできましたが、「せっかくならキャンプ地で一日登っておこう」という話になり、テントから正面に見上げるどっしりとした花崗岩の壁、Tête de la Maye(2,518m)でウォームアップを兼ねたクライミングをすることに。お互いの体の状態を確認しながら、翌々日からの Aiguille Dibona に向けて気持ちを整える。そんな一日を過ごすことにしました。
その夜、空が割れるような雷雨に見舞われました。テントの中で雨音を聞きながら、「明日は本当に登れるのだろうか…」と思っていたのですが、翌朝テントのジッパーを開けると、拍子抜けするほどの快晴。エクラン山塊の岩が、朝日の中でくっきりと輝いていました。山の天気は、裏切る方向にも、嬉しい方向にも、容赦なく動きます。
この日のターゲット:Tête de la Maye(2,518m)
Tête de la Maye には18ほどのマルチピッチルートが整備されています。今回選んだのは、岩壁の中央を一直線に登る Maye Oh Niaise(TD+ 6c>6b)。キャンプサイトから目と鼻の先にあり、翌日の Aiguille Dibona に向けて指を温めるには、これ以上ないロケーションです。
当日の行動記録
クライミングインフォメーション
クライミングトポ
OISANS NOUVEAU, OISANS SAUVAGE - Livre Ouest
準備したクライミング道具
- ロープ:ダブルロープ 2×50m
- クイックドロー:16本
- スリング&カラビナ各種
登ってみての感想
このルートの核心部はL6(6c)のオーバーハングです。グレードを聞いて身構える方もいるかもしれませんが、一つ目安を挙げるとすれば ── 南ヴォージュ・Martinswand の「l'extrême onction(L2, 6b+)」をこなせるレベルであれば、L6で立ち止まることはないと感じました。アルザスでトレーニングを積んでいる方には、むしろ馴染みやすい動きかもしれません。
むしろ私が予想外に面白いと感じたのは、その先のL8(6a)スラブピッチです。グレード上は6aと数字が下がるのですが、足の置き方とバランスに繊細さを要求される、じわじわと効いてくるタイプのピッチで、核心部よりも強く記憶に刻まれました。難しさの「種類」が違う、とでも言えばいいでしょうか。高グレードをこなした後の油断を突いてくる感じが、なんとも憎い 😄
Aiguille Dibona 出発前にショートクライミング:Paroi du Paravalanche / Para Vent
Maye Oh Niaise の翌日は、いよいよ Aiguille Dibona の麓にある Refuge Soreiller(2,719m)へ向けて出発する日です。荷物をまとめて山小屋へ向かう前に、近隣の Paroi du Paravalanche へ立ち寄りました。
本格的に登る時間はないけれど、岩には触れておきたい。そんな気持ちで選んだ2ピッチでした。クライマーなら、きっとわかってもらえる感覚だと思います 😄
キャンプサイト(Camping municipal de la Bérarde)の詳細やクライミングトポ情報については、👉🏻 Aiguille Dibona の記事にまとめています。あわせてご覧ください。
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