フォンテーヌブローで迎えた最後の朝。前夜はクライミング友との食事を楽しみ、少しだけ穏やかな気持ちを取り戻していました。この日は雲ひとつない快晴。秋とは思えないほど暖かく、絶好のボルダリング日和です。
フランスらしい、のんびりとした朝
朝9時頃に起床。それぞれ近くのパン屋さんへ向かい、焼きたてのバゲットやクロワッサンを買って戻ってきます。昼食用のサンドイッチや行動食も一緒に購入し、宿でゆっくり朝食を楽しみました。みんなはバゲットにたっぷりのバターとジャムを塗って食べていましたが、私はいつものように何もつけず、そのままコーヒーと一緒に。「バターもジャムもつけないの?」そんな反応をされるのも、今となっては良い思い出です。
最後の岩場は Larchant-Éléphant
この日は全員が登るわけではありませんでした。朝のうちに帰路につく人もいれば、宿でゆっくり過ごす人もいて、最後は5人だけで Larchant-Éléphant(ラルシャン・エレファン)へ向かいました。
初めて訪れて感じたのは、「まるで海辺の砂浜のようだな」ということ。広い砂地の上に巨大な砂岩が点在し、日本の岩場とも、普段登っているヴォージュ山脈ともまったく違う景色が広がっていました。
この日登った課題
- Éléphant(5c)完登
離陸さえできれば、それほど難しくはありません。 - La Sans Goulotte(5a)完登
このトラバース課題が5a? それとも最後だけが5a? いずれにせよ、良い課題でした。 - Ame Soeur(2c)完登
「2cって何だろう?」そんなことを思いながら登っていました😆 - Le Quasar(3c)完登
こちらもグレード以上に楽しめる一本でした。
最後は被り課題に挑戦
せっかくなので、少し被っているボルダーっぽい課題にもトライしてみました。
- Trav-B-F(6c+)敗退
何度もトライしましたが、残念ながら登れませんでした。やはりフォンテーヌブローは簡単には登らせてくれません。次回への宿題です。
フォンテーヌブローをあとに
Trav-B-F を最後に、この日のボルダリングは終了。荷物をまとめる前に、ふと振り返って砂地の岩場を眺めました。この2日間で触れた砂岩の感触、離陸のたびに緊張した瞬間、仲間の歓声。そのすべてが、あっという間の出来事のように思えました。
13時過ぎに岩場を後にし、宿へ戻って軽く昼食。15時頃にフォンテーヌブローを出発し、途中で寄り道をしたこともあり、ストラスブールに戻ったのは22時過ぎでした。こうして、初めてのフォンテーヌブロー遠征は幕を閉じました。
初めて訪れたボルダリングの聖地
ずっと一度は訪れてみたいと思っていたフォンテーヌブロー。世界中からクライマーが集まる理由を、自分の目で見ることができたのは大きな収穫でした。念願だった砂岩の感触、クライミング友との時間、どれをとっても満足度の高い週末でした。それでも正直に言うと、この遠征は前日に起きたパリ同時多発テロという出来事と切り離して語ることはできません。森の中では穏やかな時間が流れていても、心のどこかには常に前夜の出来事が残っていました。
それでも、クライミング友と岩を登り、自然の中で過ごした二日間は、不安な気持ちを少しずつ和らげてくれたように思います。当時のフォンテーヌブローでは、フランス語より英語を耳にすることのほうが多く感じられました。世界中のクライマーが集まる場所だからこそ、国境を越えて人が集い、岩を楽しむ日常が、どれほど尊いものなのかを改めて実感した遠征でもありました。
フォンテーヌブローには、この後も何度か足を運ぶことになります。しかし、あの2015年11月の二日間だけは、今でも特別な思い出として心に残っています。
※現在、「Rocher de l'Eléphant(象の岩)」は登攀禁止となっています。登ることができないのはエレファントエリア全体ではなく、「象の岩」そのものです。(2018年10月・Office National des Forêts)
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