イェギホルン(Jägihorn, 3206m)でのエキサイティングなヴィア・フェラータを終えたものの、このあとの予定はまだ決めていませんでした。そんな時、朝ロープウェイで一緒になったスイス人のご年配ご夫妻が教えてくれた言葉を思い出します。
「時間があるなら、ホーサース(Hohsaas, 3200m)へ行ってみるといいよ。」
なんでも、そこからは4000m級の山々を18座も一望できる絶景が広がっているそうです。せっかくここまで来たのだから、その景色を見ない手はありません。
あっという間に標高3200mへ
クロイツボーデン(2400m)からホーサースまではロープウェイでほんの数分。標高3200mまで一気に上がると、目の前にはヴァイスミース(4017m)とトリフト氷河(Triftgletscher)が迫力満点の姿を見せてくれました。
「これがスイスアルプスか…。」思わず見入ってしまうほどのスケールです。
山頂近くにはレストランもあり、「ここでビールでも飲めたら最高だろうな」と思ったものの、この日はさすがに疲労困憊なのかビールを飲む気にもならず。景色を眺めながら、静かに休憩することにしました。
まさにアルプスの大パノラマ
あまりにも景色が素晴らしかったので、思わずパノラマ写真を撮影。ホーサースからは、
- Weissmies(4017m)
- トリフト氷河(Trifgletscher)
- Lagginhorn(4010m)
- モンテ・ローザ連山(Dufourspitze 4634m、Zumsteinspitze 4563m、Signalkupp 4554m、Nordend 4609m)
- Strahlhorn(4190m)
- Rimpfischhorn(4199m)
- Allalinhorn(4027m)
- Alphubel(4206m)
- Täschhorn(4490m)
- Dom(4545m)
- Lenzspitze(4294m)
- Nadelhorn(4327m)
- Stecknadelhorn(4241m)
- Hohberghorn(4219m)
- Dürrenhorn(4034m)
など、名だたる4000m峰が次々と姿を現します。まさに「スイスらしい景色」という言葉がぴったり。ただ景色を眺めているだけなのに、時間があっという間に過ぎていきます。
「18座見える展望台」のちょっとした豆知識
ホーサースは「4000m峰を18座望める展望台」として紹介されることが多いのですが、実は少し面白い話があります。かつて4001mとされていたフレッチホルン(Fletschhorn)は、その後の精密測量により標高が3993m(現在のSwisstopoでは約3984m)と改められ、現在はUIAAが定めるアルプス4000m峰のリストから外れています。つまり、現在の基準では、ここから見える4000m峰は「17座」と考えるのが正確です。それでも観光案内やパンフレットでは、昔からの表記を引き継ぎ「18座」と紹介されていることがあり、この違いもアルプスならではの面白いトリビアです。
このまま昼寝する?
絶景を眺めながら、しばらくのんびり過ごします。「このまま昼寝をして帰るのも悪くないな…。」そんなことまで考えてしまうほど、居心地の良い場所でした。しかし、翌日は天気が崩れる予報。晴れている今日のうちに、少しでも多く見ておきたい。そう思い立ち、サースフェーへ戻り、さらにフェルスキン〜ミッテルアラリンまでロープウェイと地下登山列車「メトロ・アルピン」で登ってみることにしました。
計画は、あっさり終了😆
ところが……転がる様に坂道を下り、急いでロープウェイとポストバスを乗り継ぎ、サースフェーへ戻ってロープウェイ乗り場へ向かうと、「本日の営業は16時までです。」時計を見ると……15時50分。あと10分。「えっ!? もう終わり!?」思わず声が出そうになりました 😆
そういえば、サース=グルントのロープウェイも16時で営業終了でした。アルプスの山岳リフトは、日本の観光地よりも営業時間がかなり早いことを、この時ようやく実感しました。完全にリサーチ不足でした…。
のんびりサースフェー散策
予定変更。ホステルへ戻ってシャワーを浴びたあと、サースフェーの村を歩いてみることにしました。まず訪れたのは、この村の名物でもある干草小屋(Heustadel)。昔使われていた木造の干草小屋が集められ、昔ながらの景観が保存されています。中にも入れたらもっと面白かったのですが、それでも独特の雰囲気があり、サースフェーらしい風景を楽しむことができました。
ツェルマットとは違う、素朴な山岳リゾート
サースフェーのメインストリートは、ツェルマットと比べるとずいぶんコンパクト。15分ほど歩けば村の端から端まで歩けてしまうほどの小さな村です。華やかなリゾートというより、「登山やハイキングを楽しむ人のための山岳リゾート」。そんな落ち着いた雰囲気が、この村にはよく似合っていました。
観光案内所で思わぬ収穫
観光案内所では、ハイキングマップと一緒に、サースフェー周辺のヴィア・フェラータを紹介したパンフレットをもらいました。これには驚きました。冬はスキーリゾートとして知られるサースフェーですが、夏はハイキングやヴィア・フェラータにもかなり力を入れていることが伝わってきます。
パンフレットには、
- Jägihorn(3206m・K5/K3)
- Mittaghorn(3144m・K3)
- Via Ferrata del Lago(3137m・K3)
の3ルートが紹介されていました。
そして何より収穫だったのは、翌日登る予定だったMittaghornの下山ルートが詳しく載っていたことです。当初はPlattjen方面へ下る予定でしたが、パンフレットによるとBritanniahütte方面へ下るルートが正式ルートとのこと。実はPlattjenのリフトが営業していないように見えていたため、この情報を事前に確認できたのは本当に助かりました。(翌日になって分かったことですが、ヴィア・フェラータの取り付きにも下山ルートの案内板が設置されていました。)
明日の天気を気にしながら…
観光案内所では翌日の天気も確認。使われていた予報はmeteoblueでした。夕方から雨予報だったため、食料を買いに村を歩きます。肉屋では生ハムを探したものの見当たらず、教えてもらったCOOPでハムやトマト、パン、翌日の行動食、そしてもちろんビールも購入。一部の銘柄ですが、冷えた缶ビールが売られていたのは嬉しいポイントでした。ホステルへ戻り、一日の締めくくりは冷えたビールで乾杯です。
静かな夜、そして翌日の挑戦へ
20時30分を過ぎると、サースフェーの村はすっかり静かになりました。空には雲が広がり始め、予報どおり明日は天気が崩れそうな気配です。ネットで周辺地域の天気も調べてみましたが、どこも似たような予報。それなら予定どおり、翌日はMittaghorn(3144m・K3)へ向かうことにしました。
そして、この日はもうひとつ嬉しいことが。前夜、豪快ないびきを響かせていたフランス人ご夫妻は次の目的地へ出発したようで、6人部屋はなんと貸し切り。この夜は静かな部屋でぐっすり眠ることができ、翌日のヴィアフェラータに備えてしっかり体を休めることができました。
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