フランスでは5月になると祝日が続き、この時期は旅行シーズンの始まりでもあります。学校が休みになることもあり、多くの人が連休を利用して出かけるため、普段は混雑している近所のスーパーやトラムも驚くほど空いています。一方で観光地は多くの旅行者で賑わい、夏のバカンスが一足早く始まったような雰囲気になります。
そんな5月、この週は Fête de la Victoire de 1945(戦勝記念日)と Ascension(キリスト昇天祭)の祝日があり、クライミング友からこんな誘いがありました。
👱🏻「南フランスへ登りに行こう。行き先は Gigondas(ジゴンダス)。」
🐢「えっ、どこですか?」
👱🏻「石灰岩のクライミングエリアだよ。それにワインでも有名な場所。」
🐢「それは楽しみですね!」
ここ2年ほど、遠征といえばヴォージュ山脈ばかり。久しぶりの南フランス遠征ということで、クライミングはもちろん、ワイナリー巡りまで勝手に想像しながら楽しみにしていました。ところが出発直前になって天気予報が急変。南フランスは雨予報となり、ジゴンダス遠征は中止に。「せめてワインだけでも楽しみたかったな.....」そんな少し残念な気持ちで代替案を聞くと、なんと「フォンテーヌブローへ行こう。」
えっ!? またフォンテーヌブロー!? つい1か月前に4日間登って帰ってきたばかりなのに? 😆 確かに北フランスは快晴予報。天気を考えれば納得なのですが.....まさかまさかこんな短期間で3回目のフォンテーヌブローになるとは思ってもいませんでした。
出発まで謎だらけのツアー
今回のツアーは天候の状況もあり、出発の直前まで誰が参加するのか、どこに泊まるのか、それすら分からない状態でした。いつも連絡をくれるクライミング友も急きょ参加できなくなり、「本当にこのツアー大丈夫なのかな.....」と少し不安な気持ちのまま、朝9時に集合場所のクライミングジムへ向かいました。
さらに驚いたのは宿泊先。てっきり今回もキャンプだと思い込んでいたので、前回の経験を活かして自炊を想定した準備をいろいろとしていました。ところが今回泊まるのは、知人の紹介で予約したゲストハウス(ジット)。「まあ、キッチンくらい使えるだろう。」そう思っていたのですが.....あとになって、このゲストハウスではキッチンが使えないことが判明します。せっかく準備した荷物は、ほぼ出番なし。出発前から予定が少しずつ狂い始めていました。
いざフォンテーヌブローへ
参加人数は当初より少なくなりましたが、午前10時前にストラスブールを出発。前回は朝5時出発だったので、それだけでも身体的にはだいぶ楽でした。
この日も快晴。フォンテーヌブローの最高気温は27℃予報と、まるで夏のバカンスといった陽気でした。途中2度休憩を取りながら、フォンテーヌブロー近郊のスーパー(少し独特な雰囲気のお店で、正直あまり長居したい場所ではありませんでした 😅)で買い出しをしてから、お世話になるゲストハウスへ向かいました。
のんびりした時間が流れるゲストハウス
17時過ぎに、今回お世話になるゲストハウスへ到着。庭ではオーナーご夫妻が笑顔で迎えてくださり、そのままお茶をごちそうになりました。時間がゆっくり流れる、とても居心地の良い空間です。ご主人はフォンテーヌブローのボルダリングについてよくご存じで、岩場の話も弾みました。一方、奥様はクライミングにはまったく興味がない様子。そんな対照的なお二人の雰囲気も、なんとも微笑ましく感じました。
あまりにのんびりしていたので、「今日はこのまま登らず終わるのかな?」と思っていたところ.....夕方6時を過ぎてから、「じゃあ、登りに行こうか。」さすがクライマーです 😆 向かったのは 95.2 エリア。夕方とは思えないほど快適なコンディションでした。
95.2 Centre (Trois Pignons)
- Snap (4b) 完登
最初の一本からフォンテーヌブローらしい洗礼。4bでも普通に難しい。 - Petit Déjeuner (5a) 敗退
最後の乗り込みがどうしても怖く、高さ以上に精神的なプレッシャーがあった。
- Abitur (5a) 敗退
高さは3mほどしかないが中身は非常に濃い一本。何度もトライしたものの登れず。 - Baccalauréat (5b) 完登
細かいホールドを丁寧につなぐタイプで、自分に合っていたようで気持ちよく登れた。
- Amiens (5a) 完登
比較的素直なムーブで登りやすかった。 - Arras (5b) 完登
身体をうまく振りながらバランスを取るムーブが面白く、無事登り切れた。
95.2 Sud(Trois Pignons)
- Sautiller (4c) 完登
離陸直後の一手勝負といった課題。登りやすかった。
95.2 Nord(Trois Pignons)
- P'tit Toit (6b) 敗退
右から左へ回り込み、左斜め上へ登る美しいライン。最後の2手、体を返すところが難しく敗退。
旅はまだ始まったばかり
気が付けば時計は21時を回っていました。夕食は近くのケバブ店へ。ここで改めて「ゲストハウスではキッチンが使えない」ことを知り、自炊用に持ってきた荷物が完全に無駄になったことが判明 😆 自炊するつもりでいろいろ持ってきたのに.....もっとも、これはクライミング友達も想定外だったようです。
行き先はジゴンダスからフォンテーヌブローへ、キャンプのつもりがゲストハウスへ、自炊のつもりがケバブへ。そんな小さなハプニングも、この遠征らしい出来事。予定通りにいかないからこそ、旅は面白い。こうして、3回目のフォンテーヌブロー遠征は、どこかゆるく、穏やかな空気の中で幕を開けました。
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