すでに体力はかなり消耗していますが、初日のゴール、カウプ(Kaub)を目指して再び歩き始めます。
「涼しい場所を求めて来たはずなのに……」
そう思わずにはいられないほど、この日の暑さは想定外でした。
ロルヒまでの様子はこちら 👉🏻 世界遺産ライン渓谷、古城を辿る56km ラインシュタイク(Rheinsteig)紀行②【リューデスハイム〜ロルヒ編】
水飲み場でひと息
ロルヒを出発する前に、Katholische Kirche St. Martin の近くにあるパン屋さんの水飲み場で顔を洗います。冷たい水が火照った体に心地よく、再スタートの儀式のような一瞬でした。……とはいえ、村まで下ってきたということは、当然この先はまた登りです。
坂を登り切って振り返ると、ライン川を背景にロルヒの町が一望できました。疲れた体には、この景色が何よりのご褒美です。
歩き始めて約1時間。可愛らしい村ロルヒハウゼン(Lorchhausen)を通過します。
歩きやすい道が続きますが、時刻はすでに17時30分過ぎ。夕方になっても暑さはなかなか和らぎません。
さらに20分ほど進むと、「Kaub 9km」という案内板が現れました。
「このペースなら日没前には着けるかもしれない。」
ようやく少しだけ希望が見えてきます。
ライン川の対岸には、絵本のような町並みが美しいバッハラッハ(Bacharach)が見えていました。今なら「いつか歩いてみたい町」と思える景色ですが、この時の私はそんな余裕はありません。頭の中は、「暑い……。」それだけでした。
ゴールが見えてからが長かった
しばらく歩くと、ついに今日の目的地カウプ (Kaub) の町が見えてきました。
「やっと着く!」
そう思ったのも束の間。ここからが本当に長かったのです。地図で見ると近そうですが、ライン川は大きく蛇行しています。さらにラインシュタイクは川沿いを一直線に進むわけではなく、山の斜面や谷を何度も巻きながら続いています。ゴールが見えているのに、なかなか近付かない。精神的にも一番きつい時間でした。
そんな時、運命の分岐点が現れます。ラインシュタイクには、青いマークで示された公式ルートとは別に、黄色い標識で案内された周回コースがあります。そして、この分岐では……
- 青ルート:約4km弱
- 黄色ルート:約2km弱
約2kmも違う。
「ショートカットにするか?」
疲れ切った頭で、本気で数分悩みました。でも、ここまで歩いてきたのだから最後までラインシュタイクを歩きたい。そう思い直し、青い公式ルートを選びました。
……ところが。この判断を何度後悔したことか。山の中へ入ると水もほとんど底をつき、谷を回り込みながら歩く道が延々と続きます。写真を撮る余裕もなく、「とにかく前へ。」その一心で歩き続けました。
それでも、森の中へ入ると木陰が増え、ようやく暑さも少し和らいできます。夕方になったこともあり、体への負担は少しだけ軽くなりました。そして木々の間からカウプの町が見えた瞬間、心の底からホッとしたのを今でも覚えています。
ようやくカウプへ到着
20時少し前。丘の上に建つグーテンフェルス城(Burg Gutenfels)が夕日に照らされる中、ようやくカウプへ到着しました。谷間の町はすでに陽が届かなくなっていましたが、空はまだ明るく、なんとか日没前にゴール。
予定より遅いスタート、そして予想外の猛暑。想像以上にハードな一日でしたが、無事に歩き切れたことに安堵しました。
……ところが、最後に思わぬ試練が待っていました。町のお店が全部閉まっている。
「えっ!? ビール飲めないの!?」
長い一日の締めくくりとして最高の一杯を楽しみにしていただけに、このショックは大きかったです。ちなみに翌朝になって分かったのですが、宿泊したユースホステルの食堂では普通にビールが販売されていました。
宿泊したユースホステル
この日宿泊したのはRheinsteig-Jugendherberge Kaub。「Jugendherberge」はドイツ語でユースホステルという意味で、ユースホステル発祥の国がドイツなのだそうです。今回は公式サイトから英語で問い合わせたところ、予約可能との返事とともに予約完了メール(ドイツ語)が届きました。
料金は朝食付きで35.5ユーロ。会員証を持っていませんでしたが、追加料金もなく宿泊できました。部屋は二段ベッド1台とシングルベッド2台、シャワー・トイレ付き。豪華ではありませんが、とても清潔で快適です。しかも、この日は宿泊者が私一人。ドミトリーなのに個室状態でした。
ただ、一つだけ困ったことが。部屋の鍵の開け方が分からない。説明を聞いたはずなのに全然開かず、偶然通り掛かった子どもに助けてもらいました。ヨーロッパでは何度もホテルに泊まっていますが、まさか鍵で苦戦するとは思いませんでした。
シャワーを浴びて、持参したエナジーバーとおにぎりで簡単に夕食。町を散策する元気も残っておらず、そのままベッドへ。ラインシュタイク初日は、暑さとの戦いでもあった長い一日となりました。
翌日は、カウプからザンクト・ゴアルスハウゼンへ。
👉🏻 続く
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